写真部の体験レポート2014

意外と知らなかった、川の上1mの風・音・光。

橋の上を毎日通っていても、市街地の川の上1mにこんな世界があることを知りませんでした。
朝の喧騒は遠く、水音と鳥の声だけ。
山際から差し込む朝日が波に弾け、風とともに鳥が飛んでいきます。

鵜飼舟の船頭で漁師でもある「結の舟」平工顕太郎さんが、細い漁師舟で、長良川の自然を案内してくれました。

川から見た虹は、大きかった。

このプログラムは自然が相手ですから、とても天候に左右されます。
筆者もこのプログラムの同行にあたって、台風や豪雨による不催行に2回泣きました。
乗れた皆さんは、本当にラッキー。

今日の明け方に降った雨が止んで、空に大きな虹がかかりました。
川は少し増水気味で、風も強いですが、天気はこれからぐんぐん晴れていきます。
これはいい日になりそうです。

ドキドキの船頭体験!

上流へ向かうためにはエンジン(船外機)も使いますが、下流へは流れに任せているだけでどんどん舟がすすみます。それを制御するのは、大きな竿と櫂(かい)。
小学5年生のお姉さんとお父さんが竿づかいに、
小学3年生の弟さんが、櫂さばきに挑戦します。
はじめての体験に、真剣!

中州に降りてみましょう。

増水しているため少しいつもと場所は違いますが、平工さんの漁場でもある川の中州に降りてみます。
このために、濡れてもよい靴があると便利。

風が寒い日だったので、ちょっと水が冷たいです。天候によっては、長靴のほうがよいかもしれませんね。

この季節にはもう、石に藻が少ないので、石の上にキラキラ輝く水紋がきれいです。

知っておきたい、川での水難救助

 川は楽しいだけでなく、ときに水難事故の危険も隣りあわせです。

 たとえば川でのBBQなどで、友達や家族、自分が溺れたら?
 川を楽しむために、ぜひ知っておきたい知識を、平工さん自らが溺れている人を演じて教えてくれました。


 山での遭難事故の場合、60人が遭難して、助かる確率はそのうち10人。
 でも、海や川で60人が遭難した場合、助かる確率は30人。
 助けに行った人が死亡する確率も多いのです。だから、意外かもしれませんが絶対に自分から助けに飛び込まない。
 応援を呼び、川岸から(あればロープや)空気の入ったペットボトルを投げ入れます。

 溺れている人は、実は石などで骨折する危険が一番大きいといいます。
必ず足を下流に向け、足で蹴って障害物をよけられるようにします。
頭を浮かすため、それ以外のときは足は水中へ。

 前職で川の自然体験スクールにいた平工さんは、子どもたちにこうしたことも伝えて行きたいと考えています。

鮎はとれるかな?

 増水して、いつもは川になっていないところが川になり(前川と呼ばれています)、鮎は流れのゆるやかなそちらに集まります。そして、漁師のおじさんたちも。

 とはいえ、そちらには行けないので、いつもの場所で網を投げてもらいました。
 きれいに広がる手投げ網。
 ほかの日にはこの1回で20匹ほど天然鮎がかかっていたそうですが、今日は2回投げてもつかまりません。
 残念ですが、大丈夫。朝捕まえた鮎が、このあと塩焼きで待っています。

 舟上では途中、落ち鮎の瀬張り漁の仕掛けも見ました。
川床に沈めた白いビニールと、川面にはったロープが水をはじく音に驚いて鮎が止まったところを、手投げ網で獲る漁です。

昨日捕まえておいた、川魚。いろんな種類がいます。

 平工さんの船着き場。
 岸にあがって、平工さんがあらかじめ捕まえていた川魚たちを水槽で観察します。
 いっぱい種類がいますが、タナゴの一種「カネヒラ」がとくにきれいでした。
青緑色のラインが入った体に、ピンク色に透けたヒレ。秋特有の婚姻色です。

天然鮎の塩焼きと一夜干しの食べ比べ。

 冷えた体を炭火で温めながら、平工さんのお母様が焼いてくださっていた天然鮎をいただきます。
 焼きたての塩焼きは、身がフワフワ。

「この時期の鮎は、一度産卵したあと、もう一度産卵しようと思ってエサをいっぱい食べるから美味しいんです。ただし、そのために結構内臓に砂が入っていることもあるので、気になる方は内臓は食べない方がいいかも」
と平工さん。季節によって、鮎の味ってとても変わるものなんですね。



 そして、特製の一夜干しは、漬けこんだ塩分が鮎の味をより濃厚に引き出していて、おせんべいのよう。
ああ、これ、「いか焼き」や「えびせんべい」みたいに岐阜名物として売り出したら、大ヒットになるのではないでしょうか。

少し頼もしくなった、子どもたち。

 帰りは、弟さんの櫂をお姉さんが自主的に手伝って。
「近くに住んでいても、普段は全然、川で遊んだりしない子たちなんですよ」とお母様。
舟に驚いたカモが、水面を自分たちと同じ高さで飛んでいきます。
きっと、この体験は大人になっても特別な思い出として残るのではないでしょうか。


  (奥村裕美)

 プログラム詳細:
 「川舟で朝の水面へ!命がうねる、ほんとうの長良川体験

別の日のレポートはこちら→vol.1

■短縮版レポートもあります: