写真部の体験レポート2014
【003】大橋兄弟の漁見学と獲れた川蟹でスペシャル会席
天候・時間・水位によって姿を変える川に魅了されます。
筆者は昨年も取材させていただいており(昨年レポートはこちら)、今年もほかに川のプログラムをいくつか取材させていただいていますが、毎回異なる水面の美しさに心を動かされます。
今日の水面は、昨日までの強風がうそのように静か。空と雲が鏡のように映る中を、舟がつくる波だけがゆらめきます。
定員8名の小さな漁師舟に乗れた方々は、この市街地の中とは思えない静かで美しい光景に感動します。
漁師歴70年の大橋兄弟だからこそ見つけられる「蟹の道」。
「ここじゃあかんな、もうちょと場所を変えんと」
素人目には十分な量がかかっているように見えますが、やはり増水のために蟹のルートが変わっているようです。1mずれると、もう蟹はとれないとか。
そう聞いて、川底をのぞき込んでも、昼間は砂の中に隠れている蟹は見えません。
小5のときから祖父について漁をしてきた大橋さん兄弟だからこそ、わかるのです。
長良川下流の川漁師はいまや8人のみ。専業の漁師は大橋亮一さん(80)・修さん(78)兄弟だけとなりました。
「漁師になって70年。そやけど、まんだ勉強中ですわ。長良川大学にこうして毎日通って、魚と知恵比べしとる」と笑う二人。
その手や顔に川風と日差しが刻んだ皺が、長い時間を物語ります。
ミソが甘い!エラのとこがまた、コリコリしてそのままかぶりつきたい
モクズガニの醍醐味は、かにみそ。とくにメスの内子(産卵前の卵)は最高です。
シンプルに塩ゆでや鍋にすると、その甘さとうまみの濃さがきわだって、蟹の概念がかわるほど。
海の蟹と違い、甲羅の下は比較的柔らかいので、甲羅をとったらそのまましゃぶりつくのがうまい!
海の蟹では食べられない、エラのところがなんともコリコリして、ここが好きと言う方も。
足の身も濃くておいしいのですが、いかんせん小さいので、ほじくりだすのには骨が折れます。大きな爪のところなら、身もとりだしやすいです。丸福寿司の大将、清水孝宏さんいわく、おいしいけれどこのめんどうくささが、いつもは店で出さない理由だそう。
でもでも、おいしいので、参加者はほじくり続けています。
2時間半、気づけば食べっぱなし。ああ幸せ。
土鍋で炊いた蟹飯。ここに鍋の汁をかけても美味。
デザートには、あの有名な「奇跡のりんご」を添えた、特製ガトーショコラ。
どこまでも、どこまでも、贅沢で至福で、話のタネが尽きない時間でした。
この味が、いつもの通勤通学の橋の下にいる。
それを知ったら、川を汚すなんて絶対できません。
すぐそばに、豊かな自然の恵みがある岐阜を、とても誇りに思いました。
(奥村裕美)
プログラム詳細
「大橋兄弟の漁見学と獲れた川蟹でスペシャル会席」
■参加者の皆様へ:集合写真はこちら
■2013年開催の様子はこちら