写真部の体験レポート2014
【112】薬膳料理 × 円空ゆかりのパワースポットでリフレッシュ
想像してみる。山谷の奥で、一人の男が自由に彫刻を掘っている姿を。
企画の柱のひとつ、円空仏と対面。
円空仏の熱いファンは、全国にいらっしゃいますが、筆者は円空仏にいままで造詣が深くなく、生で初めて見ました。
誤解を恐れずに言えば……円空は当時のゆるキャラクリエーター!?
仏教を庶民の手に渡すべく、道端のお地蔵さんを掘るように、素朴で身近な仏像を贈ったのではないでしょうか。
写真の「ジャングル黒べえ」みたいな狛犬、なんとも言えずかわいい!あまりにも芸術性が高くて、ガラスケースに入っていますけれど、人里離れた森の中で自然と調和しているのが本来の姿なのでしょうね。その姿も見てみたいものです。
他にも、円空が、旅と彫刻を辞める決意として預けた、硯(すずり)と折り棄てた錫杖などが残っています。
写真出典:高賀癒しの郷
http://www.horado.com/kouka/enku.html
薬膳料理のイメージをいい意味で覆す、芸術的で優しい美味。
鑑真康寿堂に戻り、待望の薬膳ランチです。
冒頭の薬草園を守る漢方薬局の末裔、野崎友雅さんがつくる、目にも楽しく、体にやさしい薬膳ランチ。薬っぽさはまったくなく、素材の味が活きていながら意外で鮮やかな味の構成に、目をみはるばかりです。
動物性のもの、化学調味料は一切使っていません。
本日のおしながき
前菜
ぶどうの梅しそ漬け
里芋の甘茶しょうゆ煮
紫芋と安納芋のあわせ
バターナッツ南瓜と坊ちゃん南瓜の大豆ミートソース
りんごのアサイー漬け
メイン
冬瓜と梨のローズヒップソース
大根のふろふき えのきソース
お食事
どくだみの薬膳鍋
紅花ごはん
デザート
柿のニッキ煮
薬膳とは、薬草を食べることではないんです。
……と、食後に店主の野崎さんが語りました。
母親が息子のために
「最近、寒い中、部活の朝練が続くな。朝ごはんもあまり食べずに出かけて行ったし、夕飯は、体があたたまって胃にも優しいものを作ってあげようかしら」
と思って作る、日々の観察から出る『思いやり』。これこそが薬膳だと。
難しい材料を使わなくていいんです。スパイス棚に残りがちなものをちょっと隠し味に入れてあげるだけで、実はできてしまうお料理なんです、と。
円空さんも、村人の健康を気遣って、「早起きをするといいよ」などという助言を和歌にして残しています。当時の僧は、お医者さんとまでいかないまでも、心身の健康アドバイザー的な役割を果たしていたんですね。
洞戸にお店を開くにあたり、この円空さんの逸話をもとに野崎さんは自分の薬膳の方向性を決めたのだ、と。
食べる側は「ああ、おいしい!」「なんて楽しい食事」と思っている中に、たくさんの作り手の思いやりが隠れていました。
洞戸は1日楽しめる場所!
おまけ:
せっかく洞戸まで来たならば、プログラム終了後も楽しいところがいっぱいあります。
100円で容器2つまで汲むことができる、来客が絶えない高賀のおいしい水。東京の有名テーマパークで売られている水もここの水です。洞戸に来るなら、ぜひ大きめのペットボトル持参でどうぞ。
キウイも旬ですし、板取川を北へ向かえば紅葉スポットもたくさん。
生ハムのおいしい直売所もぜひ。
初夏なら、ブルーベリー狩りに鮎の塩焼き、ホタル観賞も。
洞戸に来ると、寄りたいところが多すぎて、それも楽しみのひとつです。
(奥村裕美)
プログラム詳細:
「薬膳料理 × 円空ゆかりのパワースポットでリフレッシュ」