写真部の体験レポート2014

徹夜踊りのまちに、いままで地元産の下駄がなかった!?

 郡上での開催レポート(その1その2)に引き続き、岐阜市での開催レポートです。

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 徹夜で3日間踊りとおす、郡上踊り。街中が人々の熱気に包まれ、踊っていない方がかえって気おくれしてしまうほどです。

 今まで、郡上踊りのために売られていた下駄は、九州産の下駄でした。

 美濃市の森林アカデミーで木の家具作りなどを学んでいた諸橋さんは、木材の豊かな郡上で地元産の下駄を作りたいと起業したばかり。今夏、はじめてカフェの一角を借りて販売したところ、製造が間に合わないほどの売れ行きとなりました。

下駄にも、木の知恵が生きています。

 郡上踊りにとって下駄は、楽器の役割も果たします。地面を打ち鳴らす音がカラコロと高いほどよいとされています。壊れにくさも、足への柔らかさも必要です。

 郡上木履の下駄は、強度が強い郡上産のヒノキから、まるごと削りだします。木に継ぎ目ができると、そこから壊れやすくなるからです。硬いヒノキは、下駄の音もとても軽やかです。

 写真のように、硬い木の中心部が下に、肌あたりの柔らかい外側を上面にしています。

土台を削って、お好きな形に。

 おおまかに角をとったら、あとはひたすらやすりで磨きます。四隅だけでなく、こだわる方は歯の横なども。
 磨くほどにつやが出るのもヒノキの特長です。

 この工程が1時間続きます。粉が舞うので、マスクや、汚れてもよい服があるとよさそうです。

どの鼻緒にするか、一番のお楽しみ。

 たくさんのデザインの中から、鼻緒を選びます。 

〇写真上段:郡上の特産品、シルクスクリーンで刷られた鼻緒。デザイナーでもあるTakara Galleryの鼻緒用オリジナルデザインです。ポップな柄と色使いがかわいいです。


〇写真中段:イギリスロンドンのリバティプリント。和洋コラボです。かわいい花柄は、ほかでは見かけない下駄になります。


〇写真下段:郡上本染の鼻緒。郡上の渡辺染物店製。実は一番高価です。


 今日はどれを選んでも同じ値段です。

「あー、迷うー!どっちだと思うー?」と悩み続ける人もいれば、インスピレーションですぐに決める人も。
 結果、その方らしいイメージのものを選んでいらっしゃるから、面白いです。

 やすり掛けで手がまだプルプルしていますが、いよいよ鼻緒をつける作業へ。
 鼻緒がとれてしまわないよう、伝統的な結び方を教えてもらいます。慣れるまではなかなか複雑。

待ちきれず、足にあててみたり。

 金具も金・銀の2種から選んで。これで完成です。
 さっそく、あっちでもこっちでも、試し履き。
 とっても履きやすい!と声があがります。

同じ鼻緒でも、男女でこんなに雰囲気がかわります。

 今回参加されていた、建築家グループの作品。アシンメトリーなデザインなど、さすがのこだわりです。
 この鼻緒が、今回の一番人気でした。女性にも男性にもあいますね。

愛おしすぎて、もったいなくて、履けないよー、なんて言わないで。

 さっそく、来年の郡上踊りにでかけてみてくださいね。


プログラム詳細:
郡上のヒノキでMY下駄づくり(岐阜市善光寺)

レポート vol.1(開催地:郡上)

レポート vol.2(開催地:郡上)

レポート vol.3(開催地:岐阜市)

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