写真部の体験レポート2014

岐阜の隠れごちそう『鮎のなれ鮨』に、はまる人続出。

 鮎と米をそのまま発酵させた「鮎のなれ鮨」。
 岐阜に住んでいても、味わったことがある人は案外少ない、岐阜の隠れ伝統食ですが、その味わいに虜になったという方が多数参加していた今回のプログラム。
 実際に家で作りたいと、塩加減や工程など真剣な質問が飛び交いました。

材料は鮎・塩・米・水だけ。あとは手間と時間と菌がつくります。

 日本各地に、色々な魚のなれ鮨は存在しますが、
すぎ山の鮎のなれ鮨を最初に食べたときのあの感動は忘れられません。

 まったく生臭くなく、むしろ発酵した米は、上質な日本酒のようなフルーティーな爽やかさ。
 チーズに似たうまみがあり、お酒がすすむ味です。

 * * *

 源頼朝が、戦いで落ち延びたときに岐阜の鵜匠に助けられ味わった味が忘れられず、その後鎌倉幕府に定期的におさめさせたとか、

 織田信長がこの味を愛し、保護したとか、

 数々の偉人に愛されてきた、長い歴史を持っています。

 お寿司を献上した「御鮨街道」も残る岐阜ですが、その当時は漬けて5日間で江戸につくようにしていたそう。現在のレシピは1~2カ月発酵させるので、米と魚が溶けあって、よくなじんだ絶妙のバランスとなります。

全3カ月の工程のうち、漬けこみを体験します。

 実際に一から作ろうとすると、ウロコをとった鮎を1カ月塩漬けしなければならないため、今回は塩漬け・塩抜きまで終えた状態から体験し、2カ月の発酵期間はすぎ山に預けます。

 使う鮎は、10月頃のオスの落ち鮎。オスのほうが身が多いため、おいしく作れるそうです。
 ちょうど、お正月に食べごろとなるので、鵜匠はご挨拶まわりの手土産に配ったとか。

 鵜匠家直伝のこのレシピを一般に教えるのは、今回初の試み。キャンセル待ちが続出する人気プログラムとなりました。

ぎっしりお米が詰まった鮎。すでにこのままで美味しそうです。

 炊き立ての温かいお米をおなかにつめていきます。

 今回はお一人3尾分×9名ごとのグループで1桶を作ります。

 ぎっしり2段に鮎と米が積み重なります。

上からご飯を均等にかぶせ……

 竹皮を敷いて重石をし、桶に水を張って、発酵させます。
 2カ月後にできあがったものを、均等に分けて持ち帰ることとなります。

眼下は夕暮れの長良川。温泉に入るもよし。

 体験から会席の間に、温泉を楽しむこともできました。

鮎づくしの豪華会席と鵜飼仕舞見物の贅沢な時間で〆。

写真部スタッフは、皆様のおくつろぎを邪魔しないよう同行しませんでしたが、
実際に参加してきた事務局スタッフが携帯で写真を撮ってきてくれました。

 鵜がつかまえた鮎は、くちばしの形がついています。鮎が新鮮なまま、キュっと瞬間的に絞められるので、美味しいのです。
 すべてが絶品だったとのこと。うーん、うらやましい!

 とくに、やはり鮎のなれ鮨(今回のブログの、写真2枚目)は、さすがこの講座の参加者だけあって、全員が完食でした。
 ぜひ、もっと岐阜の文化として、色々な方に知っていただきたいグルメです。

 最後は、窓の外や、旅館の前の遊歩道から、今シーズン最期の鵜飼を観覧。川の流れが速く、つけ見せと呼ばれる、観覧船を岸につけての鵜飼でした。花火もいつもよりたくさん上がり、特別な時間を演出してくれました。

プログラム:
【001】「鵜匠家直伝 絶品鮎のなれ鮨手作り体験と天然鮎料理

(奥村裕美)